子どもの福祉の増進を図ることを
目的としています。

環の会(わのかい)は、予期しなかった妊娠や、子育てに悩む方からの相談に応じ、子どもの幸せを第一に考え、特別養子縁組の支援を行っています。縁組の手続きが終了した後にも、産みの親、子ども、育て親のサポートを継続して行っています。

1991年に設立し、翌年、東京都により第2種社会福祉事業として受理され、更に2000年には特定非営利活動法人(NPO法人)として認証を受けました。

2017年には、特定非営利活動法人の中でも、特に「認定」を受け、「認定特定非営利活動法人」となり、2018年には、民間事業者に対する新しい法律のもと、許可事業者として東京都より許可を受けました。

2018年末までに、377人の子どもたちが新しい家庭に迎えられ、223の家族が血縁によらない家族として過ごしています。また、子どもを託した後の産みの親の方々や、「養子」という方法を選ばず、社会資源などを利用しながら子育てをする、多くの方々のサポートも行っています。

環の会の特徴

環の会設立に当たっては、養子縁組の支援の方法について、児童相談所関連の機関にご教示頂き、システムを構築しました。子どものための支援を行うことを模索する中で、環の会独自の取り組みがさまざまに生まれ、民間団体ならではのシステムができあがりました。産みの親に対しては24時間体制での電話相談、メール相談も行って参りました(現在は、基本的に9:00-20:00)。子どものための「テリング(tell+ing)」も環の会ならではの取り組みです。

子どものために、環の会が仲介して、産みの親と育て親の間の交流をサポートすることも、国内の他の機関で行っていなかった時期に、独自のものとして、開始しました。

環の会では、子どものすべてを受け入れられる育て親を探しているため、育て親の候補の方から、迎える子どもについて希望を受け付けることはしていません。迎える子どもについて、「無条件になる覚悟があること」が、育て親になるためには必要であると考えています。これも設立当初の時期には、極めて独自性の強い取り組みとしてとらえられました。「望まない妊娠」という表現が多く使われていた時期、環の会では「予期しなかった妊娠」という捉え方を発信しました。つまり、母体に芽生えた命は「望まない命ではない」ということです。この考えも、大きく広がっています。

環の会初代代表の横田和子(故人)は、自宅を環の会の事務所として使用し、文字通り身を粉にして、東奔西走の相談対応を行い、一方、育て親希望者に対しては、子ども中心の子育てが可能かどうかについて、確認するために、厳しい研修も行いました。

代表挨拶

星野 寛美 代表

新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。また、闘病中の方々におかれましては、一刻も早いご快復を祈念いたします。

感染収束が中々見通せず、さまざまな困難が日本国内に広がっている中にありながらも、多くの方からご寄付を頂き、職員一同の励みとなっております。ここに厚く御礼申し上げます。

環の会では、予期しなかった妊娠や、出産についての悩み、子育ての行き詰まりなどに悩む方に対し、相談に応じています。充分に時間をかけたカウンセリングにより、行き詰っている状況について、お話を聞かせて頂いています。また、状況により、ご自身で育てることが難しい場合には、育て親による特別養子縁組という方法での子育ての支援も行っています。メール、電話による匿名でのご相談も可能ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。

環の会は、養子縁組のあっせんを目的とした団体ではありませんので、育て親希望の方々のために、「養子縁組可能な子どもを探す」、といった活動は行っておりません。あくまでも子どもが中心です。

子育てに行き詰ってしまい、養子縁組がベストという場合もあるかもしれませんが、シングルマザー(シングルファザー)や祖父母による子育てがベストと考えられる場合もあります。それぞれの状況の中で何がベストなのか、子どもの幸福を展望してご相談を寄せて下さった方と一緒に、考えさせて頂きます。環の会では、あくまでも子どもが中心です。しかも、子どもは、今日、新生児だとしても、6年後には小学生になります。そして、その後更に数年経てば、思春期を迎え、やがて1人のおとなとして、社会に巣立っていきます。環の会では、子どもの成長を見据え、育つ過程での足場作りとして、「生まれてきてよかった」「生きていてよかった」と思うことができるよう、育て親のもとに迎えられた後も、子育ての支援を行っております。

くりかえしになりますが、環の会では、あくまでも子どもが中心です。そのため、環の会では、子ども中心の子育てをして下さる育て親を募集しています。さまざまな背景の中で生まれ、過ごしてきた子どもの、全てを、丸ごと受け止めることのできる育て親の方を募集しています。

このように、環の会では、子どもを中心に据えて、相談業務を行っている団体です。皆様との、いいご縁があれば、嬉しく思います。

子どもたちの生命と人生、未来のための縁組

シンボルマークについて

産みのお母さんも育ての親も、お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、地域の人たちも、そして子どもたちも、子どもの周囲にいるすべての人を尊重するのが環の会の縁組みです。その想いが環の会のシンボルマークにもなっています。

名付けについて

環の会の子どもたちは、産みのお母さんからもらった自分の名前を大切にしています。「名前」は産みのお母さんから子どもたちへの大切なプレゼントだと思っています。

テリングについて

環の会では「テリング(tell+ing)」をしながら子どもを育てています。テリングとは、子どもに、産みのお母さんがいること、愛されて産まれてきたこと、望まれて育ての親の元に迎えられたことなどを、ありのままに伝え続けていく、また、子どもの声を聞き続けていくことです。法律用語の「真実告知(出自を知らせること)」とは違います。

2人目以降の子どもを迎えることについて

環の会では子どものために「きょうだい」を迎えることを推奨しています。兄弟がいることで子どもの世界ができます。時にはケンカすることもあるでしょうけれど、それも含めて兄弟の中で学ぶことが子どもの人生にとってとても有意義だと考えます。また、同じ境遇の子どもが身近にいることは、親に理解できない気持ちを子ども同士で共有しあえるのではないかとも考えています。

環の会で使用している用語

当会では設立以来、「子どもとの縁組」が旧来のものとは違う新しいイメージの縁組として日本社会の中で定着することをめざして、現状の実体に即した用語を使用しています。
一般的に使用されている用語 環の会で使用している用語
養子縁組 子どもとの縁組
養子 子ども
実母/実親 産みの親
養親/養父母 育て親
真実告知 テリング(「真実告知」とは異なった考え方による)
(養子を)とる もらう (子どもを)迎える

バックアップ体制

特別養子縁組に関して

環の会では、特別養子縁組が成立するまで、専門分野に精通した顧問弁護士のバックアップにより万全の体制を整えております。その結果、申し立てた縁組は現状のところ100%成立しています。

子育てに関して

子育ての不安、親子のいざこざ、子どもの日々のようすについての戸惑い、誰かに相談したいけれど、どうすればよいのかわからない…、そんな育て親のために環の会では、環の会理事富田庸子(鎌倉女子大学児童学部児童学科准教授)による『子育て相談窓口』を設けているほか、医師、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床発達心理士などの有資格者が相談に応じています。

また、説明会や育ての親の集い、シンポジウム、あるいは有志によるイベント(キャンプ・スキー・バーベキュー・他)などを通じて育て親同士の交流を深めることができます。

説明会は都内では年4回、また他の地域(東北、関西、九州など)でも行われており、それに参加することにより、育て親同士の交流、情報交換などができます。また、環の会の特色であるテリングをしながら大きくなたお子さんを持つ育て親先輩にも会えるので、子育ての悩みや、テリングのアドバイスなども得られます。こういった横のつながりが環の会の育て親にとってとても心強いものになっております。

説明会について

説明会は環の会で縁組をした育て親によって運営されており、育て親希望の方の説明会の場であると同時に育て親同士の交流の場でもあります。また、育て親希望者の方にとっても、実際に縁組をした家族の生の声を聞くことができます。